我社では創業以来、一貫して“創業元年”というスローガンを掲げている
すなわち、初心忘れるな、ということである


 「自分の手で、世界の子どもたちに夢を与える玩具をつくり出したい」
 この想いが後発企業のバンダイをトップ企業にまで発展させた原動力となった。
 山科はトップ企業になっても創業時の夢を追い続けた。そして過去を振り返ることはしなかった。
 人間だれしも過去を振り返り苦しかった時代を思い出し、時には暗い気分になることもある。また苦労を重ね成果を出した成功者ほど自分の歩みを自慢したくなる。過去の栄光にすがって生きようとする人も時にはいる。このことは人間としての進歩をストップさせてしまうというわけだ。
 山科は決して、過去を振り返ることはしなかった。
 「山科語録」の“創業元年、創造元年”という言葉を単なるスローガンに終わらせることなく、創業以来、一貫して実践しているところに、バンダイの発展のカギがある。
 山科は語った。「いまの若い人はどうも夢に生きるということを知らないようだ。私はこれからもどんどん会社をつくり、若い人にゆだねたい。そして若い人に自分もやれるんだという自信をもたせてやりたい」。ここにも若者の声を活かして発展し続けるバンダイ発展の姿がある。


【プロフィール】
山科 直治(やましな・なおはる)1918年生まれ。
山科の上京当時、東京には三百社の玩具問屋があった。
山科は三百社中の二百九十九番になりたいと考えて努力した。そして達成すると次に二百九十八番になりたいと頑張り、トップメーカーに発展させる。