どんなに素人でも、頑張りようによっては玄人に勝つことができるのだ
不景気のときこそ拡張せよ
礼儀は処世の衣、顔をつくる心である
「会社を経営するために、なによりも経営者の健康が大切である。健康であってこそ客へのサービスが完璧に果たせる」
こうした思いから水野自身は、毎日、ランニング姿になって自ら走り、いろいろなスポーツマンと知り合い、スポーツや健康法について語り合った。
こうしてスポーツマンとの人間関係づくりを続けていたので、水野の店には著名なスポーツマンが数多く訪れるようになった。
それらのスポーツマンたちの体型をモデルにして、スポーツウェアを作り始めた。この日本におけるスポーツウェアの草分け的な存在である。
美津濃は〝すべての面で育成された人間〟を求め続けた。社員一人一人が自ら人間性を練磨し、能力向上に努力し精進して、より完成度の高い人間を目指そうとした。
「〝全人間〟が一致団結し、心を通わせてビジネスに取り組んでこそ、ほんとうのスポーツの振興ができ、社会の役に立つことができる」と訴えた。二〇二〇年の東京オリンピック招致の時、身ぶり手ぶりを加えたスピーチで招致の立役者となった水野正人はきっと祖父である利八の想いを背負ってプレゼンテーションしたに違いない。
ミズノの経営理念は『より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する』である。
【プロフィール】
水野 利八(みずの・りはち)1884年生まれ。
日本のスポーツウェア作りの草分け。東京オリンピック招致の時、身ぶり手ぶりのスピーチで立役者となった水野正人の祖父である。