思い立ったが吉日で、常に現時点をチャンスに好機と考えて行動すること


 チャンス、好機というものはすべての人々に平等にやってくる。だがそのチャンスを掴むことは難しい。多くの人々は、あとになって「あのときがチャンスだったのだ」と気づくが、その時はもう遅い。
 どんな時代であっても成功に導くのは工夫を凝らしたやり方である。やり方さえ間違えねば必ず成功する。そしてチャンスは常にある、今もある・・・・。
 多くの人は、チャンスや運は「やってくるもの」「あたえられるもの」「恵まれるもの」と思い込んでいる。「チャンスや運に恵まれることはごくわずかで、一生のうち何回もない」と一般の人は考える。しかし小林の考えは全く違っている。
 「チャンスは常にある、いまもある」と考えていたわけだ。つまり、思い立ったが吉日で、常に今の時点を〝チャンス〟〝好機〟と考えて行動することこそが大切な男の生き方だというわけだ。
 小林は「運イコール実力、遊んでいて運は掴めない」と語っているが、これもまた運を追い求めて必死に戦い続けてきた人間だからこそ言える言葉であろう。
 『運はハコブ』なり(運という字はハコブという字でもある)と言って、自分から取りに行くという積極さこそが大切だというわけだ。


【プロフィール】
小林 孝三郎(こばやし・こうざぶろう)1897年生まれ。
戦後間もないころ、五十一歳で独立。敗戦の混乱で原料、材料の全く無い中『現時点を好機』として行動し続けコーセーの基盤をつくる。