一人一人が激しい流れに対応する姿勢を身につけて、風雪に耐えて立つ大樹のような抵抗力を育て上げ、
波濤を乗り越えて進む旺盛な意欲をたぎらせることだ


 「常に新たな視点に立って、私も〝先憂後楽〟を座右の銘とし社員の皆さんとともに激動の時代を勇気をもって乗り越えていきたいと考えています。」
 ダーウィンの「進化論」から適者生存、優者生存、優勝劣敗の話を聞き、「世の中に必要なものは栄える」が心に強く残っていた。
 「将来必ず酸素時代が来るということで始めたのですが、ちゃんと酸素時代がきましたし、炭素ガスにしてもしかりです」。さらに「いま、つくっている液体水素は宇宙開発に使い、成田空港の近くには大規模な液体水素工場をつくろうと思います。国際空港は、液体水素が燃料になってきましょう、そういう大きな夢をもっています」という言葉にみられるように夢を描き、自分の言葉にして発信し、常に志=ビジョンを打ち上げた人である。
 「相当の犠牲も払い、苦戦もしたが、もしプロパンをやっていなかったら、会社はここまでこれなかったでしょう。ただの金儲けのためでなく、大衆が要求しているもの、世の中に必要なものを売り、買う人に利益を与えたから会社が伸びたと私は確信しています」
 このように『買う人に利益を与えたら会社は必ず伸びる』と岩谷は常に語り続けた。


【プロフィール】
岩谷 直治(いわたに・なおじ)1903年生まれ。
昭和の東京オリンピックの聖火台および国立競技場で〝マルヰプロパン〟を聖火として燃えさせた、燃えるようなパワーを持った創業者。