よい知恵は、天から降ってくれるものではなく、われわれ人間に内蔵されているものであり、
それは日常的な行動の場からこそ生まれてくる


 「昼はソファー、夜はベッド」のキャッチフレーズで一気に人気商品とさせたフランスベッド。
 それまで日本の製品は西欧でつくられたものを真似てつくったものばかりで、独創的なものは全くなかった。
 池田は真似ることを捨てて独創的なものをつくり出そうとアイデアを打ち出し次々と、技術革新によって製品化した。たとえ失敗しても「勝つまで!成功するまで!」と、創造的にチャレンジを続けた。
 「わが国の歴史は、模倣の歴史でわれわれの短所の自覚についてとなると、はなはだ心許ない。物の本質を科学的に捉え、辛抱強く追及していく姿勢が足りません。真似はできても創造はできないという事実です。
これからの時代は、このままでは通用しないと思います」
 「わが国は、黙って待っていれば麦も実ります。欠陥を指摘されても
謝っておけばいつしか春がやって来る。他民族の侵入という深刻な脅威もほとんど経験せずに生活できました。その意味からいえば、情報の収集、整理、活用という問題も、日常の場で上手に活用できていないのではないかと思います」


【プロフィール】
池田 実(いけだ・みのる)1920年生まれ。
わが国にベッドを普及させた功労者。画期的な高性能ベッド用スプリングを技術導入し、新商品に組み込んで発売した。