人と同じことをやってもまったく無意味だ人のやらないことをやるべきだ
そして人が欲しくても手に入れることが
できないものを売ったら必ず成功する


 江副は東大教育学部の時、東大新聞の広告集めのアルバイトをする。
 ある日「東大新聞」に、商社である丸紅が「進取の精神に富んだ若人を募集します」という広告を見て江副は目を輝かせた。
 「うむ、これだ。求人広告は学生にも喜ばれるので、大手企業がどんどん広告を出稿してくれるはずだ」と考え、江副は有力企業の人事課を回って広告獲得を進めた。
 大手企業は競って大きなスペースを割いて求人広告を出してくれたので、続いていた「東大新聞」の赤字も次第に解消された。
 江副は昭和三十年に「大学新聞広告社」をつくった。東大だけでなく、一橋大、早稲田、慶応などの有力大学が発行している大学新聞の広告代理店である。有力企業は先を争って優秀な人材を獲得しようと、大学新聞に広告を出した。
 進取の姿勢に富んだ江副は「企業への招待」という自社媒体を創刊。これが「リクルートブック」となり今日に及んでいる。
 これにより企業側は幅広い範囲から人材の採用が可能になったし、学生側は多数の企業の中から自分に適した企業のセレクトができるようになった。こうしたことから、急成長につながっていった。江副のアイディアがなしえた技である。


【プロフィール】
江副 浩正(えぞえ・ひろまさ)1936年生まれ。
東大新聞のアルバイトをやりながらひらめいた学生募集の広告があたり、今日のリクルートのシステムをつくり上げた。