企業は、経営者の器以上に大きくならない
だから、自分の成長がとまったら、軽蔑されて当然だ
器をどのように大きくしていくか、
よくよく考えていく必要がある


 筆者のまわりにも起業する方々は多い。しかし、その多くが残念なことに創業してわずか数年にして姿を消している。残った企業の多くが、何年たっても零細のままで、中堅企業、大企業へ発展していく企業はごくまれである。
 会社を起しても経営の難しさを実感させる現実である。伸びる企業ととどまる企業を決める要因は、経営者の〝経営力〟である。経営者としての人間力を核として、構想力、決断力、組織力、革新力などを統合し、経営者の器といわれている。
 経営者の器が小さいと、その人物の経営する企業も発展しないのが現実だ。
 ここに紹介した「語録」は高原が、自戒の意味をこめて語ったものだ。彼は、「もしも自分の成長がとまったら、軽蔑されて当然だ」と自分に対して厳しかった。この姿勢があってこそ、今日のユニ・チャームの発展があったといえよう。
 筆者が主催する日本経営道協会の理事長である加藤雄一(アドバネクス会長)は高原の影響を受けた経営者の一人である。三代目社長ではあるが、あらゆる場で学び会社を一部上場にまでした。このように高原は若手の経営者の育成にも力を入れ、日本の明日を担う若い企業家の経営力や人間力向上の面でも多くの貢献をしている。


【プロフィール】
高原 慶一朗(たかはら・けいいちろう)1931年生まれ。
女性の生理用品や介護用品などに特化し、ユニ・チャームをオンリーワン企業に育て上げた勉強家の経営者。