信念はあらゆる目標を
実現させる起爆剤である


 田口利八は志を立て、自分の人生の目標をしっかりと定め、それに向かって迷わず、努力し続けた男である。また大義を掲げ、自己が志したことは必ず達成できると信じて、様々な障害を乗り切ってきた。
 昭和五年、二十三歳の田口は岐阜県において月賦で中古トラック一台を手に入れ、運送業をスタートさせる。日本の運送業の将来を見越して、自分自身の手で大運送会社を必ずつくってみせると志を立て行動を起こしたわけである。
 田口は「適正運賃」「敏速な運送」「荷主への親切」という想いを大切に、近代的経営を推進し、お客様へのサービスに徹し、固定客を少しずつ増やしていった。
 田口はただひとつ「日本一になりたい」という想いに従って突き進んだ様々な困難を乗り越えた田口は、次々にやってくる困難にぶつかる度に「蹴られても、踏まれても、強く野に咲く福寿草」という一節を常に口にして頑張り通したという。田舎の水田のあぜ道にひっそりと咲く、野の花に自分の姿を映し出していたというわけだ。
 西濃運輸に受け継がれている福寿草精神は「信念こそがあらゆる目標を実現させていく強い推進力となる」というものだ。


【プロフィール】
田口 利八(たぐち・りはち)1907年生まれ。
昭和初期、自動車は故障が多く、動かすだけでも大変な技術を要した時代、持ち前の粘り根性で障害・困難を乗り越え、西濃運輸を創業し基盤を固める。