働いて働いて働き抜いてこそ
努力は報われるし
運も神も呼び寄せることができる


 「私が苦境のどん底にあったとき、私を支えたのはまさにこの会社をつぶしてなるものかという執念であった。負けてたまるかという闘志であった。商売、経営は、経営者が希望を失わなければそう簡単に破綻するものではない。私の事業歴には後退という記録はない」と大塚は語る。
 大塚は何回も危機に直面しており、倒産寸前の状態にまで追い込まれた。
 「人生も経営も正しい判断がすべてである」と大塚は語り、「努力すれば必ず活路を見いだせる。苦境脱出の道は必ずある」と、体験をもとにして語っている。
 オロナミンC、カロリーメイト、ポカリスエット、いずれも大塚製薬の〝永遠のヒット商品〟と言われているものばかりだ。これらは、大塚の陣頭指揮によって開発されたものである。「働いて、働いて、働き抜いてこそ、努力は報われるし、運も神も呼び寄せることができる」。これが大塚実践哲学である。
 筆者は四国の徳島にある大塚製薬研究所に組織開発のコンサルタントとしてかかわったことがある。研究者の方々はまじめで、コツコツ研究を深めていた。筆者への依頼は、「研究結果を早期に商品化できる組織の体質づくり」であった。創業者の想いを継承し常に世の中に先駆けた商品づくりを重点にした大塚らしい課題であった。


【プロフィール】
大塚 正士(おおつか・まさひと)1916年生まれ。
度重なる危機を乗り越え大塚製薬グループを、大塚製薬、大鵬薬品、大塚食品など二十数万人規模の大塚をつくりあげた執念の男。