素直な心になりましょう
素直な心はあなたを強く聡明にいたします


 松下の商売の原点は「どうしたら儲かるか」でなく、「いかにお客様に喜んでいただけるか」にある。大勢のお客様の立場になりきって仕事をすることの大切さを訴えている。“松下電器の商人”たちは「①相手の心が読めること②人情の機微がわかること③相手以上に頭の下がる人間になること」に努力を続けてきた。
 松下の創設したPHP研究所は「素直な心になりましょう。素直な心はあなたを強く聡明にいたします」として素直な心の運動体として設立された。松下のいう「素直な心」というのは、利害や感情、知識や先入観などにとらわれず、物事をありのままに見え、なすべきこと、なさざるべきことがわかってくるというわけだ。
 素直な心になるためには、まず「素直な心になりたいと強く願うこと。次に自分を客観的に観察し、正すべきを正していくこと、そして、毎日自分の行いを反省し、改めるべきは改めていくこと」。また、「自然と親しむ」と松下は説いている。
 大自然の素直な働きに学んでいくこと。そして「先人に学ぶ」として、先人の尊い教えに触れ、学び帰依していくことが大切であるとしている。これらの実行により、人は「心が清らかに美しく整備された状態」になるというのが松下の教えである。


【プロフィール】
松下 幸之助(まつした・こうのすけ)1894年生まれ。
「物の豊かさ」と「心の豊かさ」を求め続け、経営の神様ともいわれた人物。平成元年に九十四歳で天に召されるがその臨終の言葉は「松下電器の社員は幸せで働いているかね」であったという。