〝権利思想や、個人主義では
絶対にうまくいくはずがない
お互いに譲り、
お互いを助ける互譲互助、
和のあり方でなければならぬ


 「日本人が、日本伝統の互譲、和の姿に一刻も早く立ち返り、対立闘争で行き詰っている世界に平和と福祉のあり方を教えることが、今日の日本人の世界的使命である。そしてその使命を担っているのが日本青年である。」と出光は訴える。
 「私は青年に呼びかける。政治家をあてにするな。教育に惑わされるな。そして祖先の伝統の地のささやきを聞き、自らを頼って言論界をひきづれ。この覚悟をもって自ら鍛錬し、修養せよ。そして、その目標を明治時代の日本人たることにおけ」
 「明治時代は、日本にとって最も偉大な力を発揮した時代である。建国以来、日本精神が世界的に爆発した時代である。
国民は日本精神を堅持して、外国文化を吸収した時代である。心身を鍛錬し、人格を養成して人間尊重の基礎を固め、社会国家のために己を忘れて一致団結し、人間の偉大なる力を発揮した時代である」。こうして出光は日本人よ日本人らしくあれ、と訴え続けた。
 出光佐三をモデルにした『海賊と呼ばれた男』という小説がヒットしたが、決して出光は海賊のような男ではない。


【プロフィール】
出光 佐三(いでみつ・さぞう)1885年生まれ。
「家族経営」、「人間主義経営」を特色にし、日本の明日を考え常に国家的視点をもって経営した。小説「海賊とよばれた男」のモデル。